【初心者必見】PID制御とは? 基礎から応用まで分かりやすく解説

PID制御イメージ

PID制御とは建物空調などの温度制御やポンプのインバータ制御など、日常生活の様々な場面で、目に見えない形で活躍しているフィードバック制御技術です。

この記事ではPID制御がどのように機能するのか、またその仕組みについて初心者でも分かりやすいように解説していきます。

【初心者必見】PID制御とは? 基礎から応用まで分かりやすく解説

PID制御グラフ

PID制御とは、比例(P)、積分(I)、微分(D)の3つの制御作用を組み合わせた制御方法です。これらの作用を通じて、設定値と目標値の差を埋め、制御システムの安定性と応答性を改善します。

各動作について簡単な動作特性を見ていきましょう。

  • 比例制御(P): 現在の誤差に比例した制御作用を出すことで、システムの素早い応答を実現します。
  • 積分制御(I): 過去の誤差を蓄積し、それを出力補正することで誤差の累積的な解消を目指します。
  • 微分制御(D): 未来の誤差変化を予測し、急な変化を早期に補正します。

Proportional(比例)、Integral(積分)、Derivative(微分)

少し分かりやすくするために温度制御を例に見ていきましょう。

PID制御を活用した温度制御【応用編】

まず、PID制御を活用するケースとして温度制御があります。

まず、PID制御を活用した温度制御として、以下の様に仮定して見ましょう。

  • SP=設定値(リモコンの設定値)
  • PID Controller=PID制御演算機
  • PROCESS=制御出力装置(温度を調節する制御弁)
  • SENSOR=実測値(室内の温度を検出するセンサ)
PID制御の入出力制御
P動作:

まず、PID制御ではP動作(比例動作)が働きます。目標設定値と実測値を比較し、誤差の大きさに応じて制御出力装置(温度を調節する制御弁)の出力を決定します。

しかし、P動作だけでは定常偏差(オフセット)というものが発生し、必ずしも設定値と実測値がぴったりになりません。

P動作の制御グラフ

PI動作:

設定値と実測値をぴったりにするのがI動作(積分動作)の役割になります。I動作ではオフセット時間を積分して、P動作に補正を加えます。

そうすることにより定常偏差(オフセット)が解消され、より精度の高い制御が可能になります。

PI動作の制御グラフ

PID動作:

ただし、PI動作だけでは制御開始時の設定値との大きな誤差や急激な温度変化に伴う負荷にすぐに対応できません。そこで役立つのがD動作(微分動作)です。

D動作(微分動作)では、過去の誤差や時間を微分し、制御出力に補正を加えることで急激な温度変化に対応することができます。

PID動作の制御グラフ

まとめ

ここまでPID制御の基本や温度制御への応用を解説してきました。

今回はわかりやすい温度制御で解説しましたが、PID制御は自動車やロボティクスの領域でも活用される制御になります。

技術的には非常にシンプルですが、応用範囲が広く、各種産業で不可欠な存在です。

この記事を参考にPID制御の理解が深まれば幸いです。