熱量計算をマスターしよう!流量・温度差を用いた熱量計算を水を例に解説

熱量のイメージ画像

熱量計算は建物の空調システムや熱源システムの設計や運用において重要な役割を果たします。

熱量計算を理解することで、建物設備がどのように制御しているかや建物のエネルギー効率を把握し、各設備の運用最適化を図ることができます。

この記事では、熱量計算の基本から、実際に水の流量と温度差を用いて計算する方法までを詳しく解説します。

そもそも熱量とは?定義と基本理解

熱量とは、温度差を生じさせるために物質に供給されるエネルギーの量を指します。これは通常、ジュール(J)またはキロワット時(kWh)で表されます。

建物設備のチラーや空調機の制御に使用する熱量は多くの場合、水の流量と使用する前後の温度差で熱量を計算します。

そのため、流量や温度差についても基本を理解しておく必要があります。

流量とは、単位時間あたりに移動する液体の体積量で、通常はリットル毎分(L/min)または立方メートル毎時(m³/h)で表されます。

温度差とは、熱源システムや空調システムの水の入口と出口の温度の差になります。

流量と温度差を用いて熱量を計算してみよう!

熱量演算器(長野計器)

熱量・流量・温度差について理解したところで実際に水の熱量計算をしてみたいと思います。

まず、熱量(Q)は、以下の式で表されます:

熱 量=比熱 x 質量(密度×体積) x 温度差ΔT

分かりやすく式を書き換えるとこのようになります。

Q=比熱 x 水の流量(/h) x (入側温度-出側温度)(ΔT)

ここで、比熱について補足しておくと比熱とは1kgの水の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量のことで、多くの場合は約4.186kJ/kg・Kが利用されます。(水の比熱については水の比熱表を参照ください。)

熱量を求める式について理解したところで実際の計算例を見てみましょう。

例題:配管内部を流れる水の流量が 15 m³/hで、往き配管と還配管の温度差が 5℃ の場合:

熱量(Q)=4.186(比熱)x15(流量) x 5(温度差)

熱量(Q)=313,950KJ/h

熱量(Q)=313.95MJ/h

まとめ

今回は流量と温度差を用いた水の熱量計算について解説しました。

水の熱量は建物のエネルギー管理やチラーなどの熱源機台数制御などに利用される重要な指標です。

熱量の計算方法が分かるとエネルギー管理や制御についてイメージが湧きやすくなるのではないでしょうか。

ぜひお仕事に役立ててみてください。