「エアコンはなぜ部屋をちょうど良い温度に保てるの?」「ロボットや制御機器が安定して動く仕組みは?」
こうした疑問のカギとなる技術が「フィードバック制御」です。
現代の機械や電子システムを理解するうえで必須の基本原理ですが、専門用語や仕組みが難しそう…と感じていませんか?
この記事では、フィードバック制御の意味や仕組みを図解でやさしく解説していきます。初心者でもイメージできるよう、日常の例や比較表、よくある疑問にも答える内容となっています。
これから制御工学を学びたい方、エンジニアとして基礎力を身につけたい方に最適の入門ガイドです。
フィードバック制御とは?初心者でもわかる仕組みと基本原理【図解付き】
フィードバック制御とは、“システムの出力”を絶えずモニタリングしながら、目標値の状態とズレがあれば自動的に補正を加える制御方法のことです。別名で「閉ループ制御」とも呼ばれます。
会社や学校などの日常会話で「フィードバック」という場合、「結果や反省を受けて、次に活かす」という意味があります。
制御工学の“フィードバック制御”も「結果(出力)」を「入力側へ戻し(feedback)」調整する点では同じで、少しイメージが湧くのではないでしょうか。
それでは具体的なフィードバック制御の流れについてみていきましょう。
フィードバック制御の仕組み【図解】

フィードバック制御では、以下の要素から成り立ちます。(上の図を見ながら制御の流れを確認することでフィードバック制御の流れを理解しましょう!)
- 目標値(設定値)
- 調節計(目標と実際の差を計算)
- 制御器(操作部)
- 制御対象(システム)
- 検出部(センサー)
- フィードバック経路(出力を再び入力側へ循環)
このように、「実際の出力をモニター→差があれば出力補正→目標に近づける」流れがフィードバック制御の基本です。
なぜフィードバック制御が必要?その目的と効果
フィードバック制御の流れが理解できたところでフィードバック制御の目的と効果について深掘りしていきましょう。
(1) “安定化”ができる!
外部からの変化(外乱)や負荷がかかっても、目的の状態をキープできます。
例えばエアコンが部屋の温度を一定に保ち続けられるのはフィードバック制御のおかげです。
(2) “外乱対応”・自動補正
外乱(ドアの開閉や人の出入りで気温が変わる、など)が加わると、出力値も一時ズレます。
しかし“出力を監視&自動補正”することで、再び元の目標値に復帰できます。
(3) 「人の代わりに制御できる」仕組み
人間が常にモニターして調節しなくても、機械/回路が自律的にコントロール可能。
これが長時間・高精度の機械制御・安全な自動化に欠かせない理由です。
オープンループとフィードバック制御の比較
制御には大きく「オープンループ(開ループ)」と「フィードバック(閉ループ)」の2方式があります。
ここではその違いと用途を分かりやすくまとめましょう。
| 操作比較表 |
項目 | オープンループ制御 | フィードバック制御 |
---|---|---|
出力の測定 | 行わない | 常に行う |
補正の有無 | なし | あり(自動) |
例 | タイマー式洗濯機など | エアコンの温度制御、ロボットなど |
外乱への対応 | 弱い | 強い |
フィードバック制御の身近な例【わかりやすく】

さいごにフィードバック制御が活用されている事例を紹介します。フィードバック制御でもっとも分かりやすいのがエアコンやロボットの領域です。
(1) 家庭での例:エアコンの温度調整
- センサーが室温を測定
- 設定温度と現在温度の差を計算
- エアコンの出力(冷房/暖房)を自動で調整
(2) 機械の例:産業ロボットの位置制御
- ロボットアームの先端が“目的位置”からズレていれば、自動で修正運動
よくある質問Q&A
Q:フィードバック制御とフィードフォワードの違いは?
A: フィードバック制御は「結果・出力を見て都度修正」しますが、フィードフォワード制御は「入力や外乱の情報から事前に対策」します。両者を組み合わせて更に高性能な制御を実現することも多いです。
Q:なぜ図(ブロック線図など)で考えるのか?
A: 図解は複雑な信号の流れや補正ポイントを「一目で整理・分析」でき、設計や調整のミスを減らすために重要です。
Q:初心者が最低限知るべきポイントは?
A: まず「出力→モニター→差分で補正」というフローをイメージ化し、目的や例から考えること。仕組みや数式はその後でもOK!
まとめ:フィードバック制御を学ぶ上で大切なポイント
ここまでフィードバック制御の意味や仕組みについて図解を用いて解説してきました。さいごにフィードバック制御をまとめると
- フィードバック制御は、「出力を観察し、差があれば自動調整」する仕組み
- 外乱や不安定要素にも強く、現代の自動化・高精度制御の基盤
- オープンループと違い、“ズレ”を検知してすぐ補正できるのが大きな強み
- 身近な機器や生体にも応用され、おどろくほど多くの日常機器で活躍中
まずは基本原理と流れをイメージでつかみ、必要に応じて“伝達関数”や“PID制御”といった応用技術にもチャレンジしてみましょう。
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