サービスエンジニアは技術力(エンジニアリング)・現場力・顧客対応力(営業力)など幅広いスキルを武器に、比較的異業種・同業界問わずさまざまな職種に転職しやすい職種です。
ですが「自分がどんな職種に転職できる?」「転職先の年収や出世、将来性は?」など悩みも多くありますよね。
この記事では、サービスエンジニア経験者の主な転職先やキャリアパス、そして実際の目の当たりにしたリアルな転職事例をもとに、次の一歩に役立つ情報をエンジニアの専門的な視点で徹底解説します。
サービスエンジニア経験者の主な転職先一覧
サービスエンジニアの転職先は多岐にわたりますが、実際に人気・実績のある職種にはどんな傾向があるのでしょうか。ここでは代表的な転職先と、それぞれの転職先に進んだ人の傾向を紹介します。
メーカー/技術営業(セールスエンジニア)へ転職

技術×営業のハイブリッド職である技術営業(セールスエンジニア)は、医療機器、FA・建物設備機器などのメーカーで引く手数多です。
サービスエンジニアで培った「顧客の技術課題に寄り添った提案」や、「現場ニーズのヒアリング経験」は技術営業でも大きな武器になります。エンジニアから営業にチャレンジしたい人にとって人気の職種となっています。
・以下のような経験者が多く転職しています。
- 医療機器メーカーでのサービスエンジニア
- 建設・設備関連のBtoB機器メーカーのサービスエンジニア
- 装置メーカーのFA/産業機械制御分野のサービスエンジニア
IT・SE(システムエンジニア/インフラエンジニア)へ転職

近年、様々なモノがインターネットに繋がるIOT(Internet of Things)やAI、クラウドサービスやデータセンター運用管理などIT(情報技術)系エンジニアの求人が急増しています。
将来性があり、給与水準も高いことから通信設備や制御系サービスエンジニアからのIT業界のSE職への転職例も増加傾向にあります。未経験歓迎のITエンジニア求人も多く、現場インフラや機器の保守経験が活かせるケースも多くあります。
・以下のような経験者が多く転職しています。
- 通信機器、ネットワーク機器の保守・運用経験者
- 装置メーカーのFA/産業機械制御分野のサービスエンジニア
同業種の管理職・リーダー職へ転職(キャリアアップ)

「年収をUPさせたい!」「経験を十分に積めたし、リーダー職や管理職にチャレンジしたい!」など、同業でキャリアアップする目的で転職する人も多く見られます。
特に大手企業などでは、一部のエンジニアリング業務に数年在籍するケースも多く、営業やマネジメントなど多くの業務を裁量を持って経験を積みたい場合には、中小企業へ転職するケースもあります。
また、現職でプロジェクトリーダー経験やチーム統括経験があれば、同業他社や同職種の管理職、マネジメント職へステップアップする道もあります。同業での転職は技術だけでなく現場マネジメント力が評価される転職市場です。
エンジニア時代に実際に見てきた転職者例
この章の最後に私自身がサービスエンジニア時代に見てきた転職者の事例を紹介したいと思います。
- 未経験からITインフラエンジニアへ
「IOT/計装サービスエンジニア→オンライン学習サービス(Udemy)でネットワーク関連教材を学習し、大手SIerにインフラエンジニアとして転職」 - 設備管理へ(ワークライフバランス重視)
「IOT/計装サービスエンジニア→残業や緊急呼び出しが多かった現場から、公務員設備管理へ(電気設備系)。シフト制&休みがしっかり取れ、年収も安定。メーカー系設備管理へ転職した方もいます。」
転職先ごとの求められるスキル・向いている人の特徴

職種ごとに求められるスキルや適性も異なります。転職を成功させるためには、自身の強みと照らし合わせて“向き不向き”を見極めることが重要です。
ここではサービスエンジニアからの転職先として多い職種ごとに、転職に有利となるスキルなどを紹介します。
技術・資格・マネジメント力
- メーカー/技術営業(セールスエンジニア)…工学系の技術経験や知識(電気・機械・情報)+社外技術資格(電気工事士、基本情報処理など)が評価される
- IT・SE(システムエンジニア/インフラエンジニア)…ネットワークに関する知識や経験+IT系資格(ネットワークスペシャリスト、応用情報技術者など)があると評価される。
- 管理職・リーダー職…現場調整や課題解決、工程管理の実務経験。転職先の業界で役立つ主任技術者資格(電気通信主任技術者など)が強みとなる。
- 設備管理…設備系の技術経験や電気工事士、ビル管理士、第3種冷凍機械責任者、第三種電気主任技術者などの資格が重視される。
コミュニケーション・課題解決力
- 顧客からのヒアリング、現場コミュニケーションが得意
- 課題発見・報告・提案力(ユーザー視点の技術折衝)
- チームメンバーや協力会社のマネジメント経験
営業系・サポート職は「わかりやすく説明できる」「現場対応の柔軟さ」が強みになり、IT転職なら“技術を丁寧に学ぶ姿勢”も高評価されます。
キャリアパスと年収アップの実態
多くのサービスエンジニアが「今より年収や待遇のアップ」を目指して転職を考えます。ここでは出世による昇給と、転職による年収変化や長期キャリアの違いを解説します。
現職で出世vs転職の年収変化
- 現職で昇格した場合(大手メーカー系サービスエンジニア)
主任~係長で500~700万円クラス、課長級で800万円以上も。不満がなければ社内昇進も堅実ルート。 - 転職によるアップ例
・技術営業や専門IT職への転身で、年収50~200万円アップのケースも。
・特にメーカーのBtoB営業や管理職に転職すれば、30代で600万円超えも現実的。 - 設備管理や中小企業だと横ばいやや減になることも
ただし、ワークライフバランスや勤務エリア重視なら魅力も大だが、年収は横ばいやや減になることもあります。
長期キャリア設計のアドバイス
- 「現場経験」+「横断的な資格取得」で市場価値を底上げ
- 事業会社やIT系に動くなら30代前半までが狙い目。管理職志向なら現職で役割拡大を目指しつつ転職も視野に。
- ライフステージを意識した働き方・ステップを見極める
(例:20~30代で専門性・年収アップ、40代以降は安定やマネジメントに軸を切り替え)
転職体験談・成功/失敗例まとめ

リアルな転職例は今後のキャリア設計にとても役立ちます。ここでは年代別・新職種別の実際の転職事例と、よくある失敗とその回避策を紹介します。(事例についてはオープンワークの口コミなどを参考にしています。)
リアルな転職事例(年代別・業種別)
- 28歳男性/技術営業へ
高専出身でサービスエンジニアとして4年勤務後、医療機器メーカーの技術営業に。前職の技術提案経験が評価され年収100万円アップ。 - 32歳女性/インフラ系ITエンジニアへ
未経験から独学でCCNA取得、通信設備の現場経験を活かし中小SIerに転職。福利厚生とキャリアアップを両立。 - 40歳男性/設備管理職へ
「体力的な負担減」を目指してビル設備管理に転職。年収はやや減ったが、夜間対応や休日出勤が激減し家族との時間が増えた。
失敗を回避するためのチェックポイント
- 仕事内容・働き方が「想像と違った」ミスマッチを防ぐため会社の口コミや社員インタビューを積極活用し、情報収集に努める
- 年収や休暇など「条件」だけで選ばず、自分の優先軸を明確に(自己分析をしっかり行う)
- 過去の経験を“どう言語化して伝えるか”を事前に整理(職務経歴書の書き方も要確認)
自己分析から面接対策まで、転職エージェントを活用することをおすすめします。私自身1度転職を経験しており、その際に3社の転職エージェントを同時に利用し、自分では気が付かない求人の発見や職務経歴書の添削など非常に助けられました。
記事のまとめ
サービスエンジニアは、現場力や対人調整力といった“ポータブルスキル”を活かして幅広くキャリアを選べる職種です。営業・IT・管理職・設備管理など、多彩な転職先があり、市場価値を磨けば年収や働き方も大きくアップできます。
今回紹介した体験談やスキル例を参考に「自分の強みを活かせる道」を見極めてください。
質の高い転職活動には事前準備と情報収集が不可欠です。ぜひ、次のキャリアの参考にしてください