熱源設備とは?設備の種類から空調システムまで徹底解説

セントラル空調システムにおける熱源設備

熱源設備とは主にオフィスビルや工場などの建物で使用される空調システムの冷温水や蒸気を供給する設備を言います。

熱源設備はオフィスビルや工場、商業施設において、最適な室内環境にするために重要な役割を果たしています。

この記事では熱源設備の基本的な設備機器や役割、空調システムとの関係について計装エンジニアがわかりやすく解説します。

熱源設備とは?設備の種類から空調システムまで徹底解説

セントラル空調方式における大型空調設備

熱源設備(熱源システム)は主にビルや病院、商業施設などの大規模な建物に導入されます。

熱源設備を理解する上で切っても切り離せないのが空調システムとの関係性です。

大規模な建物ではセントラル空調方式という空調方式を採用しており、熱源設備で作った冷温水や蒸気を空調システムで利用しています。

つまり熱源設備は空調システムの心臓部ともいえる存在であり、熱源設備の運用や効率は空調システム全体に影響を与える重要な設備なのです。

また、熱源設備といっても実際には様々な機械や機器によって構成されており、熱源設備とは熱源システムを構成する設備機器群の総称を言います。

熱源設備の分類をまとめると以下のようになります。

熱源システムの分類役割設備名称
熱源設備空調システムで使用する冷温水や蒸気を作る。チリングユニット(チラー)
冷凍機
ボイラー
冷却塔(クーリングタワー)
熱源搬送設備熱源設備で作られた冷温水や蒸気を空調設備まで運ぶ。揚水ポンプ
送水ポンプ
自動制御設備熱源設備や熱源搬送設備を効率的かつ安全に運用できるように制御を行う。コントローラー
温度センサ
圧力センサ
バルブ(制御弁)
電磁流量計

熱源設備と空調システムの関係性や熱源設備の分類について理解できたところで熱源設備の種類と役割について、もう少し詳しく見ていきましょう。

主な熱源設備の種類と役割

ここからは熱源設備の種類と役割について、わかりやすく簡単に解説していきます。

まずは、空調システムで使用する冷温水や蒸気を作る熱源設備を見ていきましょう。

冷温水や蒸気を作る熱源設備を知ろう

冷温水や蒸気を作る熱源設備には主にチリングユニット(チラー)や冷凍機、ボイラーなどがあります。

チリングユニット(チラー)
冷温水を作る熱源設備チラー(チリングユニット)

チラー(チリングユニット)とは空調システムで利用される冷温水を作ります。大規模なビルや工業施設において、空調機の負荷を担う重要な役割を果たします。

ボイラー
蒸気を作る熱源設備ボイラー

ボイラーは主にガスをエネルギー源に水を加熱し、蒸気を発生させる熱源設備です。作りだした蒸気は空調機の暖房や加湿に利用することができます。

冷凍機
冷水を作る熱源設備チラー(冷凍機)

冷凍機は空調機に使用する冷水を作る専用設備です。データセンターや食品工場、製薬業界では24時間冷房のニーズがあります。そのような室内環境維持に適した熱源設備として利用されています。

冷却塔(クーリングタワー)
冷却水を作る熱源装置冷却塔(クーリングタワー)

冷却塔(クーリングタワー)はチラーや冷凍機などの熱源設備本体の熱を冷却する水を作る役割を担います。冷却塔(クーリングタワー)は作った冷却水を循環させてチラーや冷凍機の熱を効率的に冷却します。

冷温水や冷却水を運ぶ熱源搬送設備

冷温水を運ぶ熱源設備送水ポンプ

冷温水や冷却水を空調システムまで運ぶ設備として揚水ポンプや送水ポンプがあります。

揚水ポンプや送水ポンプは、チラーや冷凍機、冷却塔(クーリングタワー)などで作られた冷温水や冷却水を熱源システム内で循環させる役割を担います。

熱源システムを制御する自動制御設備

熱源システムを効率的かつ安全に運用できるように制御を行うのが自動制御設備です。

熱源設備はこの自動制御設備がないとうまく機能しないため、自動制御設備はとても重要です。

ここでは熱源システムにおいて、重要な自動制御設備について見ていきましょう。

制御コントローラ(DDC:ダイレクトデジタルコントローラー)
熱源設備を制御するコントローラー(DDC:ダイレクトデジタルコントローラー)

熱源設備の運転停止や温度センサや圧力センサの測定データをもとにバルブ(制御弁)を動作させる制御装置を制御コントローラーと言います。

制御コントローラーはDDC(ダイレクトデジタルコントローラー)とも呼ばれ、コントローラーには各種センサや熱源設備と信号のやり取りを行う入出力装置や制御を行うソフトウェアが搭載されています。

温度を測定する温度センサ
配管用温度センサ

温度センサは熱源システムの各配管やヘッダー温度を正確に測定します。この測定データはチラーの制御やボイラーの制御に活用され、各設備の最適な制御に貢献します。

圧力を測定する圧力センサ
配管用圧力センサ

圧力センサは熱源システム内の各配管やヘッダー圧力を計測し、測定データは圧力制御に活用されます。

チラーの制御や熱源配管内の圧力が高圧となった場合に機能する圧力バイパス制御、送水ポンプのインバータ制御に使用されます。

冷温水のの流量を測定する電磁流量計
流量を計測する電磁流量計

電磁流量計は熱源システム内を流れる冷温水の流量を測定します。流量のデータは熱源システムの熱量演算やチラーの台数制御に使用される。

配管内の冷温水流量を制御するバルブ(制御弁)
冷温水や蒸気の流量を制御するバルブ(制御弁)

バルブ(制御弁)は冷温水や蒸気の流量を調節し、熱源システム配管内の冷温水温度や圧力を調整します。

まとめ

今回は熱源設備の基本的な設備機器や役割、空調システムとの関係について解説しました。

熱源設備は様々な設備と制御により、効率的かつ安全に空調システムに冷温水や蒸気を供給しています。

熱源設備についての基礎知識を理解することで空調システムの全体像がイメージできたのではないでしょうか。

熱源設備をしっかりと理解して効率的な空調システムの運用に役立てましょう!