ビルや工場、病院の設備管理をしていると、「コジェネ」と呼ばれる設備を引き継ぐことがあります。しかし、いざ担当になっても「何のための設備で、なぜ省エネになるのか」がピンとこないまま点検している、という方も多いのではないでしょうか。
コジェネレーションシステムは、建物のエネルギーを効率化する「縁の下の力持ち」です。仕組みを理解すれば、点検の意味も、この設備がなぜ導入されているのかも見えてきます。
この記事では、コジェネレーションシステムの仕組みとメリットを、専門知識がなくても分かるように噛み砕いて解説します。
- コジェネレーションシステムの基本的な仕組み
- なぜ省エネになるのか(エネルギー効率の高さ)
- 主な発電方式とその違い
- 停電時の備え(BCP)としての価値
- 点検で意識したいポイント
コジェネレーションシステムとは
コジェネレーションシステム(以下、コジェネ)とは、1つの燃料から「電気」と「熱」の2つのエネルギーを同時に作り出すシステムのことです。「熱電併給(ねつでんへいきゅう)」とも呼ばれます。
天然ガス、石油、LPガスなどを燃料に、エンジン・タービン・燃料電池といった方式で発電し、その際に生じる廃熱も同時に回収します。
通常の発電では、電気を作るときに出る熱の多くがそのまま大気へ捨てられます。コジェネは、この「捨てられていた熱」を回収して有効利用する点に最大の特徴があります。回収した熱は、蒸気や温水として、工場の熱源や冷暖房・給湯に使われます。
なぜコジェネは省エネになるのか
コジェネが注目される理由は、エネルギー効率の高さにあります。
熱と電気を無駄なく使えれば、燃料が本来持っているエネルギーの約75〜80%という高い総合エネルギー効率を実現できます。通常の発電方式では効率が40%程度にとどまることを考えると、この差は非常に大きいものです。
| 項目 | 通常の発電機 | コジェネ |
|---|---|---|
| 電気 | ○ | ○ |
| 排熱の利用 | ほとんど捨てる | 回収して活用 |
| 総合エネルギー効率 | 約40% | 約75〜80% |
捨てるはずだった熱を使うことで、同じ燃料からより多くのエネルギーを引き出せる——これがコジェネの省エネの正体です。
コジェネの主な発電方式
コジェネの発電部分(原動機)には、主に3つの方式があり、得意な施設規模が異なります。
- ガスエンジン方式:ガスでエンジンを駆動する方式。比較的低コストで導入でき、オフィスビルや病院など幅広い施設で使われます。
- ガスタービン方式:ガスを燃焼させてタービンを回す方式。大規模な工場・商業施設向けで、高温の排熱を大量に回収でき、工業用の蒸気供給が必要な施設に適しています。
- 燃料電池方式:ガスから取り出した水素で発電する方式。発電効率が高く、騒音・CO2排出が少ないため都市部のビルにも適します。家庭用の「エネファーム」もこの仲間です。
コジェネはBCP(非常時の備え)にもなる
コジェネのもう一つの大きな価値が、停電時の備えになることです。コジェネは需要地に設置される分散型のエネルギーシステムで、燃料さえあれば停電時にも電力と熱を供給できます。
そのため、災害時の事業継続計画(BCP)の観点からも導入が進んでおり、病院やデータセンターなど電気を止められない施設で特に重宝されます。
コジェネの点検で意識したいこと
コジェネは発電機の一種で、エンジンやタービンといった機械システムです。そのため、安定稼働には定期的なメンテナンスが欠かせません。
日常点検では、異音・異臭・異常な振動がないか、冷却水や潤滑油の状態、排熱回収が機能しているか(温水・蒸気の温度)などを、五感と計器の両面で確認します。
発電側だけでなく、排熱がちゃんと利用先に届いているか(熱の流れ)まで意識すると、設備全体の状態がつかめます。
まとめ
- コジェネは1つの燃料から電気と熱を同時に生む熱電併給システム
- 捨てていた排熱を活用し、総合効率は約75〜80%(通常発電は約40%)
- 方式はガスエンジン・ガスタービン・燃料電池の3つ。施設規模で使い分ける
- 燃料があれば停電時も使えるため、BCP対策にもなる
- 機械設備なので定期メンテナンスが必須。点検では熱の流れも見る
まずは、自分の現場のコジェネがどの方式で、回収した熱がどこに使われているのかを確認してみましょう。それが分かると、日々の点検の一つひとつに意味が見えてきます。






